「創造的な都市」の前に考える多様性の問題


2012年学芸セミナー

「創造的な都市」の前に考える多様性の問題

ドイツの10万人都市を例に

高松平藏 氏

終了しました



趣旨

 創造的な都市に必要なことはなにか。それは課題解決やビジョンの実現のために、都市の中の公共空間が自由と平等と民主的な原理をもとにした活発な状態であることだろう。またそういった公共空間が地域の政治や経済活動と健全なかたちで連続性があることも重要だ。
 グローバル化に伴い外国系の市民が増える。創造性を促進させるひとつの要素として多様性があげられるが、外国系市民の存在は多様性というより社会的摩擦のほうが目立つ事が多い。この摩擦の解決は旧来の市民と外国系市民が都市の公共空間をどのように作っていくかという課題と重なることが多いと思う。
 拙著『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか―小さな街の輝くクオリティ』で取り上げたエアランゲン市は外国系市民が15%程度住んでいる。外国系市民に伴う摩擦はほとんど目立たないが、「創造性」にまでつながっているかどうかも断言はできない。それにしても社会的統合の実現のために様々な取り組みがある。
 日本では創造都市論が盛んだが、外国人など多様な人たちを、そのマイナスの側面も含めて受け入れ、軋轢を乗り越えて共生の道を見出していく覚悟はあるのだろうか。その際、公共空間の役割の重要性を見落としてはいないだろうか。
 エアランゲンを例に、グローバル時代の都市はどのように作るべきかという議論につながればと思う。

高松 平藏

参加者のご感想


○Kさん(民間)
 エアランゲンの革新的である要因、要素を紹介してもらえて、エアランゲンを理解(共感)した気がしました。

○Yさん(コンサルタント)
 文化的な面に触れることができて楽しかった。仕事の関係でドイツにはカールスルーエなど2回行ったことがあり、雰囲気は想像できた。

○Oさん(ツアー会社)
 フェースブックでお友達の高松氏の話を初めてお聞きしました。
 お話の内容も興味があり、お会いできて良かったです。

○Tさん(行政)
 制度の違いに面白さがあったが、制度論を深く聞きたい。

○Yさん(大学)
 面白かった。政治の問題というのが切実に分かります。

○Nさん(民間)
 多様性がキーワードになるなかで、肝心の教師が純血主義?が多いという印象を抱き、どこの国においても教育機関の改革の必要性を感じました。

○Sさん(通訳)
 “歩みより”“理解し合う”→寛容(?)の難しさを再確認。
 「外国人市民」として、羨ましい都市です。
 今後、このような取り組みをしている都市で、生まれ育つ外国人の子どもたちのアイデンティティがナショナリズムにどのような影響を与えるのかが興味あります。

○Nさん(学生)
 現代文学史の中で一つ大きなテーマとして、ある文化圏、言語圏の人が外国語で書くという問題が挙げられる。外国語で書くということは異なる文化圏のなかに置かれながら書くということであり、そこには言語の問題だけではなく自我の問題、そして個人的なテーマのみならず異文化間の問題が関わってくる。
 自我や、文化がある文化の中に置かれ、崩れかけることによって生まれる「不安定さ」を言語化して整理することで大きなパワーが生まれるのだ。
 それが一都市のなかで様々な文化活動において行われることを考えれば、確かに創造力は大きい。しかし今までのように文化を同化させてしまえば、このパワーは衰えてしまう。
 質疑にあった継承言語教育が文化を同化させず文化を発展させ続ける大きな役割を果たしていくだろう。


高松平藏(たかまつ へいぞう)氏略歴

ドイツ在住ジャーナリスト。1969年奈良県生まれ。会社勤務後に独立する。その後、京都経済新聞社を経てジャーナリストに。97年頃からドイツ・エア ランゲンと日本を行き来する。2002年から同市を拠点にして現在に至る。著書に『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』『エコライフ ドイツと日本どう違う』(化学同人、2003、妻アンド レアとの共著)。
ウェブサイトhttp://www.interlocal.org/


日 時 2012年11月27日(火曜日)18:00開場、18:30〜20:30

場 所 京都学芸出版社3階ホール
       京都市下京区木津屋橋通西洞院東入
       京都駅より徒歩約5分 お車での来社はご遠慮ください。



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