学芸セミナー@京都

スマート・テロワール
−農村消滅論からの大転換−

松尾雅彦/宗田好史

2014.12.16(終了)


趣旨

松尾雅彦 著 浅川 芳裕 構成
推薦 川勝平太(静岡県知事)

*曖昧な活用の100万haの水田を畑地に大転換すれば
*農村は15兆円の穀物産業を創造できる      
*食と農を地域にとりもどす農村自給圏の構想    


 限界集落、市町村消滅!?が叫ばれています。本当でしょうか。
 とんでもない!
 「消滅どころか、農業・農村にこそ成長余地がある」と松尾雅彦さんは主張し、その具体的な方法論として『スマート・テロワール』を提唱されています。
 鍵は、余っている水田の畑地への思い切った転換と、そこで自給率が低い作物を育て域内の既存の工場で加工すること。そして消費者に新鮮なうちに届け、最高の味を提供するとともに、流通コストを抑え、「日常食品」で輸入原料による全国ブランド商品と対抗することです。
 こうして作付けされていない100万haの水田がよみがえれば、15兆円の新しい産業が生まれます。
 ゲストには『なぜイタリアの村は美しく元気なのか』を書かれた宗田好史氏を迎え、スマート・テロワール実現のために何をすべきか、具体的な行動について会場の皆さまとも議論したいと思います。

学芸出版社 前田 裕資

□日時/場所/会費


 14年12月16日(火曜日)
 18時00分開場、18時30分開演〜20時30分頃まで
 京 都学芸出版社3階
 会 費/1000円、定員50名(先着順)
 交流会/終了後、同会場で簡単な交流会を予定、1000円
 

参加された方のご感想

〇Sさん
 農地の維持や地域再生のヒントがあるかと期待していましたが、対処療法はなく、根本治療の必要性が納得できたのと同時に、一度破綻を受け入れなければならない怖さも感じました。
 「つとめ」と「かせぎ」には共感を覚えました。
 いつも素敵なお話を聞かせて頂き、スタッフの皆さまにも感謝しています。

〇Yさん
 『スマート・テロワール』を熟読します。

〇Tさん
 本も買わせていただきましたが、書いてあることも聞けたと思います。
 おもしろかったです。
 ありがとうございました。

〇Kさん
 内容は大変素晴らしく、驚きでした。

〇Kさん
 大変革命的な著書に出会い興奮致しております。
 今後、自分のできることを探したいと思っております。

〇Oさん
 水田農業を捨て畑作に転換する。一部の行政関係者からみれば暴論にみえるかもしれない。しかしながら、数々の施策を行ったにもかかわらず、今の農村の現状をみれば、暴挙にも見える大胆な施策を行わなければ打破できないと考える。
 その意味で、大変興味のある理論であり、行政担当者としては取り組んでみたいと思う。

〇Iさん
 不勉強のなか参加しましたが、日本政府、行政の農業に対する不備がわかり、私自身のなかに問題提起できました。

〇Oさん
 大変勉強になりました。松尾さま、有り難うございました。
 眼からウロコが取れる印象です。
 都市計画(←限界)が土地利用を決めることもありますが、利用のコンテンツとして“農”のあり方が大きいと思います。そういうことがよく分かりました。

〇Yさん
 自給圏構想はおもしろい。これからが楽しみ。

松尾さんのお話から


 「私にしか見えない農産業の四つのジレンマがある。本に書いたように@食料供給過剰時代に農村が市場経済に頼っているジレンマ、A供給者対策が全国一律に展開されるジレンマ、B過剰になった水田を畑地に転換できないジレンマ、C東京の重商主義者≠ェ農村政策をつくっているジレンマが複雑に絡み合っている。これを解くには根本的な変化、大変革が必要だ。
 だが、逆に言えばビジネス(事業)はジレンマとの闘いであり、これを解けばお客さんの大きな支持が得られる。」

 「鍵になるのは水田の畑作への転換。水田の隣で大豆をつくっても収量も伸びなければ品質もよくならない。水田を続ける部分と転換する部分を地域で決めて転換していくことが大切。
 そして地産地消。食品価格の90%は流通コストで占められているといってもかごんではない。身の丈にあった規模で競争力をつける。
 また美食革命。住民がライフスタイルに投資し、地域のなかでお金が回り出す。
 まして加工工場は女性の職場。イタリアでは帰村したシングルマザーが農村の元気の素だという。彼女らに限らず、都市には農村志向の若者がたくさんいる。その志向に応える農村をつくろう。」

 「野菜や果物で成功したからと、マスコミが持て囃している。だがコメや果菜類の自給率は高い。皆がおいかけても同士討ちになる。野菜工場をどんどんつくっても、そんなことで良くならない」。

 「事業家はお客様からお金をいただくのが本筋であり補助金だよりではダメだ。政府がお金を出してくれても、その後についてくる困難を分かっていない。」

 「大手メーカーに期待してもムダ。カルビーが市場価格の2倍で買ったのは、そうしなければ作っていただけなかったから。地域にある工場など、自前で頑張ることが肝心」

 「畜産はタダの餌を使うのがコツ。福島の降矢敏朗さんは急傾斜地での豚の肥育が有効なことを実証している。」

 「ヨーロッパの農村も地獄を見ている。本で紹介しているオーストリアのレッテンバッハ村も数十年前、合併もあって人口が半減してしまった。そこで合併を解消し、自力で這い上がって8割まで人口を戻している。村で自前のスーパーを持っているが建設費は日本の十分の一。役場や村長と秘書の2人だけ。自分たちで決め、進めて這い上がっている。」

 「地域リーダーにはホラをふくことも大事。ポテトチップを売り始めた頃、飴やチョコレートと比べ空気を売るような嵩張るポテトチップは普通なら見向きもされなかった。そこで当時50億円しかなかったポテトチップの売り上げが1000億円になるとホラをふいた。だから扱ってくれた。
 ホラが適切ではなければ夢。
 夢をめざし夢の側から作戦を練る。現状から考えても元の木阿弥。ジレンマの根本解決にはならない。夢を描かないと戦略は立たない。それも5年先の夢ではなく、アルカディアのような夢を描くことから始めよう。」
 参加された皆さんは大きなビジョンに感激されていましたが、短い文章で大意を伝えるのは難しいので、印象的な発言を記します。
(文責:前田裕資)

宗田先生のお話から


 多くの農村再生の本が現状を一部肯定したうえで未来の農業農村はどうあるべきかを書いていますが、この本は違います。対処療法で病気の痛みを抑えるのではなく、根本的な治療、大転換を説いているのです。
 7000ヘクタールでカルビーが実現したことを考えれば、有効活用されていない100万ヘクタールの水田の1割で同様のことが起これば、何かが変わります。この本にはどうやって転換するかも書いてあります。
 松尾さんが培ってきたマーケティング、経営学も込められた本です。実際に経営し、消費者の変化に敏感に対応してきた人の知恵が詰まっています。
 私も、新米ですが、故郷でミカンをつくっております。ミカンづくりは昔と比べれば楽になったと聞きますが、それで余った時間を何に使うかです。経営に使うのか、マーケティングに使うのか、品質向上に使うのか、です。私は村をもっと美しく文化的にし、風土を活かしたスマート・テロワールをつくることに貢献したいと思います。
(文責:前田裕資)

松尾雅彦

1941年、広島市生まれ、1965年、慶應義塾大学法学部卒業、1967年、カルビー株式会社入社、1992年、同社社長就任、2006年、同社相談役。

宗田好史著
 
NPO法人「日本で最も美しい村」連合副会長、新品種産業化研究会(JATAFF内)会長、スマート・テロワール協会会長。

宗田好史

1956年浜松市生まれ。法政大学工学部建築学科、同大学院を経て、イタリア・ピサ大学・ローマ大学大学院にて都市・地域計画学を専攻、歴史都市再生政策の研究で工学博士(京都大学)。国際連合地域開発センターを経て、1993年より京都府立大学准教授、2012年より同教授。国際記念物遺産会議(ICOMOS)国内委員会理事、京都府農業会議専門委員、京都市景観まちづくりセンター理事、(特)京町家再生研究会副理事長などを併任。東京文化財研究所客員研究員、国立民族学博物館共同研究員などを歴任。


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