中国の都市開発と環境デザイン
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中国での仕事の実際

 

コンペに指名されるとフィーが出る

 今、 中国のまちづくりは、 世界各国の留学先から帰ってきた30代、 40代が動かしています。 ですから、 その手法にも欧米の価値観が反映していると感じることが多々あります。

 例えば、 コンペのあり方がそうです。 私たちの事務所は中国の国内、 国際コンペがあると喜んでやります。 何故かというとコンペの指名を受けると50万元〜百万元の費用が出るからです。 1元が約14.5円ですから、 日本円にすると750万円から1450万円ぐらいになります。

 日本でのコンペ参加だとこうはいきません。 日本だと私の場合は最大で20万円でした。 つまり、 海外で勉強してきた中国の幹部達はノウハウやアイデアに対価を支払うという欧米流の価値観を身につけているのです。 目に見えないものの価値をちゃんと評価しているのです。 ですから、 日本の役所もコンペをするんなら、 民間にそれぐらい出すべきだと思います。

 言い換えれば、 中国のコンペシステムがそうなっているから、 我々の仕事も黒字にできるわけです。 実を言うと、 私自身もそんなに貰えるとは思っていなかったので、 他流試合をして事務所の若いスタッフに実力がつけばいい、 国際感覚が育てばいいぐらいに考えていたのですが、 ことごとく費用が出るものですから驚きました。 ただ、 先ほども言いましたように共産党幹部が上にいるものですから、 必ずしも公正な結果になるとは限りません。

 一等になったからと言って報酬が多いかというと必ずしもそうではありません。 A、 B、 C社のうちA社が当選したとすると、 B、 C社の提案内容はコンペ主催者が買い取った形になります。 いい提案があったら、 実現案の中で一部使うことを了解するというわけです。 だから、 コンペとは言えそれぞれに委託された状態です。 日本のやり方とは違うのですが、 それでいいと思います。 一生懸命提案してもフィーがゼロの日本のコンペに比べたら、 費用が出る中国のコンペは進んだシステムだと思います。


外国のコンサルタントに求められること

 次に中国における景観設計コンペの特徴を整理して紹介しておこうと思います。

 (3)について分かりやすく説明します。 我々がコンペでいつもぶつかるのは、 アメリカ、 カナダ、 シンガポール、 オーストラリア、 ドイツ、 フランス、 イギリスで、 今中国の国際コンペはまるで世界の建築事務所の草刈り場みたいな様相を呈しています。

 もちろん、 中国内からは北京企画設計院や清華大学や同済大学の設計院もコンペの常連として参加します。 私たちの事務所は最初、 我々のレベルがどのくらいの位置にあるのか知りたくて他流試合に臨むつもりで参加したのですが、 今はむしろ今度はどんなテーマなのかを待ち望む気持ちでやっております。

 その中で中国側が外国のコンサルタントに求めているのは、 まずひとつは中国では考えられない新しいアイデア、 そしてデザイン力です。 設計の技術力、 例えば図面化、 パース化、 模型化については、 日本よりはるかに高いと思います。 テクノロジーの分野では大変優れています。 ところが彼らはデザインの分野では他国に遅れていると自覚しています。 また、 システム論の組み立てがなかなかできないという感じがします。

 それから、 中国の未来はアメリカよりは日本に近いというイメージを持っている気がします。 ですから、 日本の歩んできた成功と失敗の道を知って事前に手を打ちたいという気持ちがあるようです。 例えば、 上海には「新天地」というフェスティバル型のマーケットプレイスがあります。 そこは古い町並みを生かしたショッピングセンターなのですが、 その作り込み方を見ると日本の成功した事例をよく学んでいると思いました。

 また、 今、 烟台の企画設計院の人たちが私たちの会社へ来て一緒に作業をしていますが、 お互いに話をしていてひとつの結論に達することができました。 都市の中央公園の他、 青少年センターや図書館を作る仕事なのですが、 話し合いの中で「私たちはやはり西洋とは違う。 東洋人なのだから東洋の良さを作りたい」というテーマ設定に達することができました。 また私の立場としては、 先進国日本と言いながらも数々の失敗を経ているのだから、 その失敗体験をどう伝え、 どう生かすべきかを期待されているわけです。


中国の計画設計要求事項

 参考までに、 最新の国際コンペで当選した際の計画設計要求事項を紹介しておきます。 この国際コンペには海外からドイツ、 フランス、 アメリカ、 カナダ、 シンガポール、 日本(我々の事務所です)が応募したのですが、 規模が大きなコンペでしたので3つに仕事を分けるため3社が当選となりました。 選ばれたのは、 ドイツ、 日本、 北京企画設計院です。

 このコンペは高速道路の景観設計がテーマでした。 26kmの長さで、 実施は3分の1ずつやるということでした。 その要求事項全体はかなりボリュームがあるのですが、 その中から主なものを紹介します。

 これ以外にも細かいことがいっぱいありますが、 コンペでは大体こんな事項が要求されます。

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