見る環境のデザイン再び
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1 はじめに

 

前田

 今日は、 大阪大学で都市計画を研究・教育されており、 都市計画制度や景観について第一線で活躍されておられる小浦先生にお話しいただきます。

 では早速お願いします。

小浦

 今年のJUDI関西のセミナーは景観をテーマに進めていくということです。 第1回では山崎先生が、 変化に対応させながら、 歴史的な町並みをいかに残していくかという視点から、 京都の景観制度とその問題点について報告されました。 第2回では鳴海先生が、 市街地が変容していく中でどのような景観ができてきているかを、 震災後の景観を事例に報告されました。

 これらの報告を受け、 今回は、 常に動いているごく普通のまちを対象とし、 一体何が景観なのかというところから考えていきたいと思います。

 私の恩師である紙野先生が以前『見る環境のデザイン』(学芸出版社)という本を書かれました。 その中で、 集落景観は道と建物と空が作る空間・環境として捉えられています。

 今日はそこから、 皆さんと一緒に考え直してみようと思い「見る環境のデザイン再び」というタイトルにしました。


景観を考えるにあたっての3つの視点

 景観や町並みを考えるにあたって、 最近感じる三つのことから説明します。

 一つ目は、 普通の市街地では、 どこが「まち」なのか分からないのに、 なぜ「町並み」と言うのかということです。

 普通の市街地で皆さんが思う「まち」とはどこでしょう。 それは同じ名称からでも人によってイメージする「まち」は異なり、 また皆さんがまちと思っていないところにも「まち」はあり「町並み」があるのです。

 「まち」が分からないのに町並みを考えることはできません。 したがって、 まず「まち」を発見する必要があるのだと思います。

 二つ目は、 町並みや景観とは、 道や建物、 空などの様々な要素が組み合わさってできる3次元の空間を、 私たちが視覚的に捉えた空間認識であるにも関わらず、 なぜ空間のルールはないのかということです。

 建築や道路については法的な基準があります。 また景観形成基準や景観計画では建築、 樹木、 塀、 柵、 看板などの空間をつくる各要素のルールがつくられます。 しかし、 そのような要素の関係性がわかるような空間としての景観計画が必要なのではないかと思います。

 例えば、 道路景観として沿道が連続立面で描かれることがありますが、 そのような見方は誰もしていません。 景観とは、 パースペクティブに見えたり、 自分のそばや遠くだけが見えたりするものです。

 したがって、 景観を計画していくためには、 視覚的な空間のまとまりとして景観を捉え直していく必要があり、 そのことにより、 何を対象に計画し、 ルールを決め、 デザインすべきなのかが見えてくるのではないかと思います。

 三つ目は多くの変化が生じている普通のまちにおいて、 景観形成基準や景観計画、 法的な手続きの中に、 建物と建物、 道と建物などの関係性を調整するという概念がなぜないのかということです。

 普通のまちは常に変化しています。 多くの工事が行われており、 建物の建て替えや増改築、 店舗の入れ替わり、 看板の設置などの様々な変化が生じています。

 景観の持続性を保つためには、 このような変化をつないでいくことが重要であり、 その手がかりに、 地域の環境の持続を考えることがあるのだと思います。

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