社員インタビュー/岩切江津子(2012年入社)

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◎この会社を選んだ理由は?

建築と地域に対して、あらゆる問いを持てる場所だと思ったからです。大学では建築を学んでいましたが、もともと出版にも興味があり、学生時代から建築展のカタログをつくるなど、ずっと建築出版に憧れをもっていました。就職活動の時期にちょうど震災が起こり、自分の進路について、建築の役割や都市のあり方自体について悩んでいる真っ只中で手に取ったのが、『コミュニティデザイン』(山崎亮著)でした。この本がきっかけで山崎亮さんの事務所、studio-Lにインターンに行き、ものとしてだけでなく、場としての建築に向き合うきっかけをもらいました。そんな設計以外の建築の見方や可能性を示してもらった会社で、自分も何かを考え、つくっていきたいと思ったのが志望動機です。

◎入社後の2年間、どんな仕事をしてきましたか?

1年目はとにかく出版社の全容を把握することが課題でした。まず、流通に関わる3ヵ月の現場研修があり、出荷や納品のシステムを学び、出荷場での発送・梱包作業や、在庫管理や伝票処理など、流通業務全般を覚えました。その後は営業研修でした。上司について書店・学校営業のために全国を行脚し、書店員さんや先生方の話を聞いては、本が人の手に渡るまで、渡ってからの姿を目の当たりにしてきました。時にはシビアな声も聞くことで、読者あっての本づくりだということを意識するようになりました。同時に社内では、本の制作補助も経験しました。著者やデザイナー、印刷所などとのやりとりのなかで、組版、校正、出稿、装丁など、本ができるまでの工程も一通り担当させてもらいました。

2年目以降は、営業中心の1年目から編集中心の仕事にシフトしていき、社内の企画会議に参加し、自分の企画も出すようになりました。何度も企画書を書き換えて何とか企画を通せるようになったり、本の構成にもアイデアを採用してもらえるようになったりと、より深く、本をつくる面白さを知った時期です。この頃、編集補助として担当した『海外で建築を仕事にする』は、世界中で活躍する17人の著者とリアルタイムでやりとりをした、本当に刺激的な仕事でした。その他にも、販促ツールの作成、ブックフェアの提案、イベントの運営、SNSによる情報発信など、制作以外の仕事も広く任せてもらえるようになりました。また一方で、教科書や実務書、受験書といった書籍開発にも関わりはじめました。他社の類書リサーチや需要アンケート調査などを行いながらチームでアイデアを出し合い、新シリーズを企画しています。教科書や実務書は、より「正確さ」や「明快さ」を打ち出せる編集能力が求められる、私が苦手な分野でもありますが、地道にこつこつ向き合っています。

そして気づけば3年目の現在ですが、恥ずかしながらもうてんやわんや綱渡りの毎日です。先ほども苦手と書きましたが、日々の業務のなかで一番苦手なことは、スケジュール管理、そして仕事・校正の正確さです。編集者の基本中の基本であるこの二つなのですが、正直私は素質ゼロです。抱える企画の本数も増え、それにともない増える出張、営業、打ち合せ、イベント運営、販促……。そんな日々の自分のスケジュール管理もままならないのに、加えておこがましくも他人(著者)の進行管理に原稿催促……。完全にキャパオーバーです。でも、その向いてなさが何かプラスを生んでいるはずだと日々自分に言い聞かせながら、あらゆる方々にご迷惑をかけては謝りつつ、何とか今日まで働けています。日々のスケジュール管理や校正を「正確に」「丁寧に」こなすことが目下の目標、漸進あるのみです。

そうこうしながら、これまで制作補助として9冊の本の制作に携わってきましたが、5月には、初めて企画から主担当となった本『森ではたらく!』を出版することができました。建築への興味から自然と行き着いた「林業」を題材にした本ですが、広く一般の人にその世界を知ってもらうため、書籍の構成から編集、装丁まで、本当に思考錯誤を重ねた1冊です。構想から1年半、全国の著者探しから、矢口史靖監督(映画『WOODJOB!』の監督)や三浦しをんさん(原作小説『神去なあなあ日常』の著者)への寄稿依頼まで、本当に体当たりな作業の連続であり、さらに入社のきっかけをくださった山崎さんとのお仕事でもあり……と、色々な思いが詰まった1冊です。社内では「林業本なんて売れないのでは?」と疑問視されていたのですが、少しでも平台に積んでもらえるよう、映画関連のフェア台に並べてもらえるようにと書店さんに掛け合ってくれた営業部の皆さんの後押しのおかげで、当初絞り気味だった初版部数を1000部上乗せすることができました。また発売後2週間で重版がかかったときにも、できるだけ流通に支障をきたさないような形で出荷のコントロールをしてくれた商品管理(業務課)の皆さんの支えは、本当に心強かったです。再版後もメディア露出情報や書店情報の共有など、編集一人では取りこぼしてしまいがちな販促の契機を、様々な角度からフォローしてもらいました。書籍販促は商品管理(業務課)、営業と編集の連携なしにはありえないと実感した出来事でした。

◎この仕事の一番の魅力は?

ものづくりとことづくりの両輪で成立つ仕事だと思っています。本という2次情報をつくる仕事だからこそ、できるだけ現場で起こっている出来事を体験し、共有させてもらって本づくりのお手伝いをしたいと考えていますし、またそれを口実にずうずうしく色々な現場に飛び込んでいけるところも、この仕事の面白さだと感じています。

◎一日のタイムスケジュールは?

8:20 出社、掃除など
9:00 始業。メールマガジンGD配信、メールチェック、企画アイデアブレストなど
12:15 昼休憩
13:00 制作中の書籍DTP作業
15:00 コーヒーブレイク
15:10 DTP作業をしつつ、販促作業(イベント企画、拡材作成、SNS)など
16:00 書店をのぞきつつ、企画の打ち合せに大阪へ
19:00 書籍関連のイベントや研究会に参加
22:00 帰宅

◎後輩へのメッセージを

「パソコンの前に座っていても良い企画は生まれない」入社後、上司に言われた一言です。「建築は実際に体験しないとわからない」と言われていた建築学生時代も、今の仕事でも、現場を見ること、直接人に会って話をすることは一番大切なことだと思っています。学生時代は時間を気にせずたくさん本を読むことができます。たくさん本を読んで、興味をもったこと、場所、人に出会ったら、実際に現場に足を運んだり、会いに行ったりしてみるといいと思います。良くも悪くも本とは違った世界を、ほんの摘み食いではありますがより深い面白さを、垣間見ることができるはずです。

最後に、学芸出版社は、これがしたいと手を挙げたら、それをさせてもらえる会社です。もちろんその分辛く大変なこともたくさんありますが、そんな状況を楽しめる人には絶好の環境だと思います。

インタビューは2014年7月実施