『図説 わかるメンテナンス』を実際に授業でお使いいただいている先生に、学生さんの反応、授業での活用方法、構造物の維持管理に関する授業について、伺いました。


東洋大学理工学部都市環境デザイン学科教授 福手勤先生のお話
(2011.11.25 東洋大学研究室にて)


Q:「構造物補修工学」という授業はまだ広まり始めたばかりのようですね。
 比較的新しい分野です。私は8年前、この科目が設置される時に、こちらの大学へ着任したのですが、構造物の維持管理を教えられる先生が他に居られなかったためでした。
 当初は私もいろいろと試行錯誤しましたよ。最初は「構造物耐久性診断」と「構造物補修工学」という授業をそれぞれ15コマずつもっていたのですが、3年前に二つあわせて合計15コマ、今の「構造物補修工学」に落ち着いています。

Q:受講される学生さんの反応はいかがですか?
3年生対象の選択授業ですが、学科生100人中、70人が受講していて、差はもちろんありますが、みんな結構、興味を持って聴いてくれますよ。これからは社会基盤施設をつくるばかりでなく、維持・補修していかなければならない時代がやってくる、ということを理解しているのでしょう。

Q:教科書の内容はいかがでしょう。
1年前に送っていただいたときに、イラストや写真が多くてわかりやすそうだなと思い、使ってみることにしました。学生に理解しやすく、このくらいの内容が親しみやすくてちょうど良いと思います。文章が多くて分厚い本は、充実してはいるのですが学生にはどうしても難しかったので。
 ただ、授業では学生の方を向いて話をしたいので、テキストを読み上げながら説明するわけには行きません。自分でPPTを作成して学生に見せながら説明します。図版部分をPPTで参照しながら使っています。だから学生は、後で見直したり確認する時にこのテキストを使っているはずです。
 それから、例題があるのが大事ですね。イラストは多くて親しみやすいのですが、もっと例題があっても良いかもしれません。

Q:構造物の種類ごと(橋梁、道路、etc)、または構造の種類ごと(S、RC)の解説にするか迷いました。結局、構造ごとの解説にしています。
スチール(S)とコンクリート(RC)に分けられていたほうが、学生には分かりやすいと思います。構造物ごとになると、例えば港湾や鉄道はそれぞれその管理者が違い、管理者ごとに維持・補修の考え方が違っていたりしますから、話が複雑で学生はついてこれないんじゃないかな。私の場合は構造の種類ごとに劣化の現象を説明しておいて、その後でさまざまな構造物の劣化事例を見せるようにしています。

Q:構造物を長持ちさせるコツは何ですか? 素人の私から見ると、ずっと昔のコンクリート構造物が今も美しく残っていて、数十年前の建物がひどく劣化しているのはなぜかな?と思ってしまうのですが…。
大量に早急に作らなければならなかった時代がありましたからね。やはり、いい素材を使って丁寧に施工することが基本です。今はかなり状況は改善され、厳しいルールにしたがってつくられています。
 テキストもがんばってください。売れ行きはいかがですか?

正直、もう少し授業が広まっているかな? と期待したのですが、ちょっと先取りしすぎたでしょうか(笑)。さすがに必修の材料学(「図説 わかる材料」)ほどではありませんでしたが…もうひとふんばり、がんばります。ありがとうございました。


学芸TOP