はじめてのランドスケープデザイン
『庭』(龍居庭園研究所) No.148
「ランドスケープデザイン」という言葉。初めて知ってから、もう三十年近くになるが、これほど一般に普及しない言葉も珍しいのではないかと思うほどの認知度の低さだ。全く新しい職種ではなくて、古くからある建築、土木、造園などの分野とダブっているところが、その性格をわかりにくくしているのかもしれない。
ランドスケープデザインとは、何をすることなのか。ここでは「総合的な環境の計画や設計」であり、芸術、建築、土木、造園、都市計画というすべての分野をカバーすると定義されている。つまり、都市計画など環境の充実のためには、もっとも基本的で、不可欠の分野だと思われる。
本書は、その啓蒙を兼ねて、学生用にランドスケープデザインのノウハウを解説したもので、コンセプトとともに、実践に役立つマニュアルが中心になっている。しかし「デザイン表現の基本」「計画・設計のプロセス」「エレメントの基礎知識」といった各論の項目を読むと、それは従来、造園の分野が行ってきたものとまったく重なっていて、ランドスケープデザインとしての個性が見えてこない。
ランドスケープデザインの存在意義は何か。「モノづくりよりも場(空間)づくり」「エコロジーの視点」「地域に馴染む景観」など、ランドスケープデザインに必要なキーワードが数々ある中で、もっとも印象的だったのは、ランドスケープデザインは「アノニマス(匿名)」であるべきというものだった。この概念こそが、従来の関連分野からランドスケープデザインを際立たせるものではないだろうか。もっと浸透してほしいものだ。


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